Case2:アソコの奥が痛い!
セックスの時に子宮の奥が痛むなら、病気のサインかもしれません。
ここでは、性交痛(主に子宮付近の痛み)に悩まされている女性のリアルな声をご紹介。また、女性器の仕組みに精通している女性医師・満行(みつゆき)みどり先生監修のもと、子宮の痛みに関連する疾病・疾患、対処方法などをわかりやすく解説しています。
セックスで子宮の鈍痛に
悩まされている女性たちの
リアルな声
20代後半ですが、奥まで挿入されると子宮あたり?下腹部あたり?がひどく痛いです。最初はガマンできるものの、だんだんと下腹部が苦しい感じがしてきて最後まで耐えられません。彼のサイズは特別大きいというわけではなく、むしろ普通なので、私に問題があると思うんですが…。ときどき痛みを感じない日もあって、タイミング的な問題なのかよく分かりません。病気を疑ったほうがいいのでしょうか。
彼が奥の方まで動かすたびに、子宮あたりにずーんとした鈍痛があります。以前はバックのときだけでしたが、最近では正常位のときでも「痛い」と感じるようになりました。しかもだんだん痛みが増している気がして、気持ちいいとかうれしいとかより、痛みのほうが強くなっています。何か原因があるのか、もしかしたら病気なのか、それともよくあることなのか分かりません。病院に行くべきでしょうか。
奥の方まで突かれたり、激しく腰を振られると子宮あたりが鈍く痛みます。我慢できないほどツライ、というわけではありませんが、毎回痛みを感じるので不安です。婦人科を受診したほうがいいのかなとも思いましたが、でも奥を突かれなければ痛みはないので、「わざわざ病院に行くほどじゃないのかも」と考えてしまって悩んでいます。
セックスのとき、奥に当たると「痛い」と感じてしまいます。奥に当たらなければ気持ちいいのですが…。これは子宮に当たっているから痛いんでしょうか?AVやネットでは「奥が気持ちいい」という人もいたりして、自分がそう感じないのがおかしいのかなと不安になってしまいます。経験が少ないわけでもないので、なおさら不安です。女性はみんな奥が良いと感じるもの?私も、いつか気持ちいいと思える日がくるのでしょうか。
セックスで子宮の奥が痛む
5つの主な原因
セックス時に膣の奥や下腹部が痛む場合、その痛みは疾病・疾患のサインかもしれません。サインにいち早く気づいて対処できるよう、考えられる病気の初期症状を把握しておきましょう。
1.クラミジア感染症
日本でもっとも多く見られる性感染症です。「クラミジア・トラコマティス」という細菌が子宮の入り口や膣の奥に感染して起こります。
初期症状はかゆみ、オリモノ、キツい性器のにおい、膣粘膜の炎症など。膣粘膜が炎症しているため、性行為をすると痛み(性交痛)が生じます。
主な対処法
性交痛が生じる初期段階のうちなら、レーザーメスを使った簡単な手術で対処できます。ただし、炎症が進行すると子宮内膜炎や卵管炎などに発展するため、症状に心当たりのある方は医師に診てもらいましょう。
2.子宮筋腫
女性の3割程度にできる、子宮の筋肉の腫瘍(良性)です。筋腫の大きさや筋腫ができる場所によって、痛みは初期症状が異なります。下腹部が痛む場合は、子宮の外側にこぶのような筋腫ができている可能性大。性交痛のほか、月経の出血量が増えた、下腹が出てきた、便秘や頻尿などの症状にあてはまる場合は要注意です。
主な対処法
初期段階の場合は、内服薬やスプレータイプの薬、注射などで対処可能です。症状が進行すると、筋腫や子宮を摘出する手術が必要となるケースもあるため、早めの対策をおすすめします。
3.子宮内膜症
本来は子宮の内側にあるべき子宮内膜が「子宮ではない場所」にできる症状。
子宮内膜が子宮の後面と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)にできると、セックス時に膣の奥の方で響くような痛みを感じることがあります。
主な対処法
初期段階なら、低用量ピルや黄体ホルモン療法にて対処。症状が進行している場合は、腹腔鏡下手術や子宮全摘出手術などが用いられます。
4.卵管炎
大腸菌・連鎖球菌・ブドウ球菌・クラミジアといった細菌が、卵管へ侵入することで起こる炎症。
炎症が広がって腹部にまで達すると、性交痛が起こるようになります。そのほか、発熱や下腹部痛、吐き気なども卵管炎の症状です。
主な対処法
症状が軽度の場合は内服薬治療、重度の場合は点滴投与および外科的治療が行われます。
5.卵巣腫瘍・卵巣のう種
卵巣内に腫瘍ができたり、腫瘍内に液体が溜まったりする病気。
腫瘍の大きさにもよりますが、性交痛やお腹の張り、頻尿を訴えるケースがあります。
主な対処法
腹腔鏡下手術や抗がん剤を使った化学療法が基本です。腫瘍の転移を防ぐために、なるべく早い段階で治療を受けるようにしましょう。
満行みどり先生のアドバイス

奥の痛みは病気のサインかも。
「セックスのときに奥の方(子宮付近)が痛む」という場合、子宮筋腫や感染症など、何かしらの病変が隠れている可能性が大きいです。
これらの病気は悪化すると手術が必要となったり、不妊症や別の疾患を引き起こしたりする場合もあり、危険度が高いので注意しましょう。「セックスの痛みくらい我慢すれば…」なんて思わず、まずは婦人科できちんと検査を受け、必要に応じて治療を受けることが大切です。
編集部のヒトコト
「女として幻滅されたくない」という思いから、誰にも相談できず痛みを我慢している女性は少なくないはず。我慢し続けた結果、子宮全摘出手術…なんて悲しい事態になってしまっては本末転倒ですよね。痛みのないセックスを素直に楽しむために、そして健康を維持するためにも、異変を感じたら迷わず医師に相談してください。
バックが痛いときの5つの対策法
強い痛みがある場合はバックは避けるべきですし、病気の可能性もあるため早めに病院を受診したほうがいいですが、でも相手が喜ぶならすこし頑張ってみたい…という女性も多いもの。そんな女性に向けてバックが痛いときの対策をまとめました。次の5つの方法を行ってみて、それでも痛ければを後背位を控えたり、婦人科の受診も検討してみてくださいね。
1.ストレッチで柔軟性をUP
バック(後背位)なら、身体の硬さや柔軟性は関係ないと思っていませんか?実は身体が柔らかいことが、痛くないバックをするうえで重要なポイントなのです。
身体の硬さにはもちろん個人差がありますが、そもそも四つん這いの姿勢が苦しい…という場合は論外。ヨガや日々のストレッチを通して、身体の柔軟性を高めましょう。身体が柔らかくなることで、バックの際の痛みを軽減できる可能性があります。
2.前戯はとにかく丁寧に!
男性側に意識してほしいこととして最も重要なのが「前戯を丁寧にする」ということ。身体が緊張状態にあっては、気持ち的にも興奮しづらく、身体も強張ってしまいます。
前戯でリラックスした状態をつくり、挿入の準備を整えるためには、キスや会話などでそういう雰囲気をつくることはもちろん、全身の感覚を敏感にさせてあげることも必要。また男性側にお願いしてばかりではなくて、女性側も一緒に前戯を楽しめるとなお効果的です。
3.深い挿入を避ける
バックの体勢で痛みを感じる場合は、挿入が深くなり過ぎている可能性があります。男性側に「あまり深く挿入されると痛い」ということを伝えて、バックの際は深く挿入するのを控えてもらうようにしましょう。
またどうしてもパートナーに言いにくい場合は、女性側のちょっとした工夫で深い挿入を避けることもできます。たとえば、脚を開いた状態でのバックの姿勢は、奥まで挿入しやすくなってしまうため痛みが生じやすくなります。そのため、脚をなるべく閉じた状態にすることで、深すぎる挿入を避けられます。
4.バックはバックでも立ちバックで
同じバックでも、痛みを感じにくいのが立ちバックの体勢です。立ちながらの体勢だと、浅くしか挿入できないため、通常のバックよりも女性側の負担を軽くすることができます。男性側もピストンしやすいため不満は出づらく、またマンネリ防止にも役立つかもしれません。実際に立ちバックをする際はイスにつかまったり壁にもたれたり、楽な姿勢を見つけてくださいね。
5.潤滑剤(潤滑ゼリー)を利用する
バックは膣内に空気が入りやすく、前戯などで濡れた状態であっても乾きやすいのが難点。乾いた状態では女性・男性ともに痛みを感じやすくなります。うるおい不足によってバックが痛い場合は、潤滑剤(潤滑ゼリー)といったアイテムに頼るのがおすすめです。
また性交痛緩和を目的にするなら、ローションではなく潤滑剤(潤滑ゼリー)を使用するのが正解。ローションを使用した場合、逆に膣の水分を奪ってしまう可能性があるため注意しましょう。
監修
満行(みつゆき)みどり先生
女性器治療に特化した医師

みどり美容
クリニック・広尾
満行みどり先生
満行みどり先生は女性器治療に特化した「みどり美容クリニック・広尾」の院長。
ビバリーヒルズの専門トレーニング施設でライセンスを取得した日本人女性初の医師でもあり、デリケートゾーンの悩みを抱える患者さんに適切な治療を提供したいと日々尽力されています。